効率的な練習

 (クレー射撃)

その1

一流射手を目指して練習に励んでいる皆さん、普段どんな練習をしていますか。暇を見つけてはセッセと射場通をいしている事と思います。
我々銃砲店にしてはとても有り難い事ですが、さて本当にこれだけで良いのでしょうか。
実はここに大きな落とし穴があります。ほとんどの射手は射場から帰ると鉄砲は真っ直ぐガンロッカーの中と言う方が、大半だと思います。
射場での実射練習だけでは、却って悪いフォームを身に付けてしまう危険性が有ります。一度悪いフォームを身に付けてしまうと後で直すのに大変な努力を必要とします。

まず第一に大切なのは、自宅でのイメージトレーニングです。
射台に入った時のイメージをして、スタンスを決め正確な挙銃動作の練習を重ねて下さい。

特にスキートの選手はこの時速い挙銃動作はしないこと。なぜなら正確な挙銃動作が身に付かないからです。スイングの練習はこれが出来る様になってから始めてください。一流選手は常に挙銃動作のチェックをしています。射場でのフォームをビデオで撮って見るのも良い方法です。
正確な挙銃動作とは、自然に立って、銃を肩と頬に同時に付けることです。この時首が曲がったり前に出る様な挙銃動作は正しくありません。

スタンスは肩幅が基本です。方向は各自の体の柔らかさにより変わって来ます。ただこの時,自分が一番撃ち良い自然なポイントは必ず外してください。
このポイントで撃つと,必ず引き止まり起こします。インサイドかアウトサイドに逃げたスタンスを探してください。

その2

調子の悪いときは、早めに練習を切り上げること。

多くの射手は調子の悪いときほどその日のスコアーを上げるため、より多く練習している様です。練習時にスコアーの悪いときは何らかの原因が有るはずです。
この原因を調べずに練習を重ねることは、知らず知らずの内に悪い射撃を体に教え込んで、試合時の失中の原因となる物を体に覚え込ましている様なマズイ練習法です。
これでは無駄な練習に終わってしまいます。

練習時調子の良いときこそ、クレーの拾い出し、スイング、狙点等の練習を重ねて下さい。この練習こそが上達の第一歩です。
当たった時の、スイング、狙点のイメージを、頭で考えずに体が自然に動く様になるまで練習すればスコアーは飛躍的に向上し安定します。

その3

練習のための練習をしないこと。

練習は試合のためにすること。けして練習時のスコアーのためでは有りません。その日一日の練習目標(拾い出し、スイング、狙点等)を決め、練習を重ねてください。
漫然と練習をしていても、なかなか結果を得られません。試合を想定してイメージトレーニングを重ねて下さい。良いコ−チに付いて練習する事は良いことです。
試合の時の不安要素を扶植して研鑽して下さい。決してマイナスイメージを持って試合に参加しないことです。


その4


試合時の心構え

試合の時は、どんなベテラン射手でもある種の興奮状態になります。経験が少ない射手はこの時、試合を重圧と感じて普段の練習時の射撃が出来ず
スコアーを崩す射手が大半です。 平常心を持って試合に臨めば良い訳ですが、達人の域に達した人以外には、到底無理な相談です。

ではこの矛盾した問題をどう解決するか。そこで重要なのがイメージトレーニングです。

大半の射手はある種の興奮状態になった時、練習時に不安不得意と思っていたマイナスイメージを持って射台に立っていませんか。これは大変不利な試合展開に成ります。
1発失中すると余計不安になり、普段の練習通りの射撃が出来なくなって、スコアーを崩す悪循環に陥ります。
ポイントはイメージです。マイナス思考かプラス思考かの違いです。たとえ膝が震え出すほどの状態に成っても、自分は神経が張りつめた方が反応が早くなる等と
プラス方向にマインドコントロールして試合に臨むことが大切です。試合で練習以上のスコアーが撃てる様になると試合も楽しみに成ります。
個人戦より団体戦の方が荷の重い試合に成りますが、自分のノルマ以上の成績で結果が出せたときの充実感は特別なものが有ります。

普段の生活では味わえない一瞬の集中と緊張も射撃の楽しみでしょうか。 
もし不本意な成績で試合が終わっても、練習、練習、練習、、、、、、プラス思考で落ち込まない事です。正しい練習を重ねていれば必ず結果は付いてきます。

その5


良いコーチは誰だ

その昔は、一流選手に気軽にコーチをお願いします等と言える雰囲気でなく、一つ一つ目で盗み自分の射撃を作り上げたものでした。これはこれで時間は掛かりますが
自分に合った射手の技術を自分なりに納得して確固たる自分の射撃を作り上げるという面では良い練習法でした。

今では、親切に教えてくれる一流選手も大勢います。しかしながら自分の目指す射法の選手に付くべきです。個々それぞれ体格や考えが違いますので自分で納得のいく
人にコーチをお願いするのが大切です。コーチを決めたら常時8割以上撃てるレベルになるまでは他の人の意見には耳を貸さないこと。なぜならまだ自分の基本も
出来上がっていないのに、いつもと違う射法やスタンスを教えられると自分の射撃に迷いを生じるからです。その日一回の練習を見て言われた意見よりも、いつもの
射撃を知っていて教えられた一言の方が的確でしょう。よく初心者の方でその日その日で大勢の人からいろいろ聞いて思い悩んでいる方も居るようですが、大切な事は
如何に早く自分の射撃を作り上げるかが重要で人の意見に振り回されないことです。

一流選手イコール良いコーチとは一概に言えません。反対にスコアーはそれ程でもなくても実にタイミング良い教えを言ってくれる人も居ますそんなコーチを探せた人は
実にラッキーです。そのコーチの意見を良く聞いて迷わず練習を重ねて下さい。

その6

自分のスイングの確認

その1に書いたビデオの活用方法ですが、射撃の中で最も重要な事はスイング中 体の軸を動かさない事です。よくゴルフの解説でプロのスイングのスロー映像を見せていますが
見事に頭の軸が動いていません。アマチュアのスイングと明確に違います。これは射撃のスイングと全く同じ事です。もし軸が崩れると正確な狙いが出来ません。
クレー射撃の場合は、クレーを発見した途端、無意識に撃ち気に走り体が前にのめる動きが出て仕舞います。しかしながら当の本人は此の動きを全く自覚していません。
これを如実に証明してくれるのはビデオです。しかし当人はその様な動きを自覚していない事が重大な問題です。一目瞭然でビデオを見ると無駄な動きが確認出来ます。

それともう一つの問題として、スイング中に振り遅れたと思い挙銃の三角形を崩して仕舞い手撃ちに成る事です。もし左手で銃を動かして仕舞うと目の前に正確な照星の位置が
有りませんので正確な狙いは出来ません。これは腰からのスイングによって修正出来ます。

自分のスイングを確認しながら練習すれば無駄な弾を使わずに上達する事が出来ます。

蛇足ですが、過って千葉県営射撃場で開かれた世界選手権でスキートの最終ラウンドでイタリーの選手が6番のマークを撃つ瞬間体が少し前に出て失中しました。
見ていた私も一瞬おかしなスイングをしたと理解出来ました。後で聞くと此の選手は6番のマークを不得手としていたとの事でしたが。此の1枚でクエートの選手と
シュートオフになりクエートの選手が優勝しました。イタリーの選手にとってそれまで完璧な射撃をしていたので悔やんでも悔やみ切れない1枚で有ったと思います。
世界の一流選手でも体の軸を崩すと失中すると言う良い例だと痛感しました。

 その7 その8と書き足していく予定です。

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